HIGH SPEC ideacentre 720

Windows MRにも標準対応したハイエンドタワーPC

鈴木淳也

 ノートPCの高性能化により、省スペースなどの問題から幾分か存在感が薄れつつあるデスクトップPCだが、ことパフォーマンスの要求されるグラフィックス処理などの高度な作業やゲーム用途ではその実力を遺憾なく発揮し、ユーザーのニーズを満たしている。また、Windows 10の大型アップデート「Fall Creators Update」が10月17日に提供されて以降話題となっている「Windows Mixed Reality(MR)」の世界を体験するにあたっては、従来のノートPC製品ではやや荷が重く、最新世代のノートPC、あるいはそこそこの性能を持つデスクトップPCが必須となる。

 

 Lenovoが投入する「ideacentre 720」は、こうした高パフォーマンスを必要とするユーザーのほか、最新のWindows MRの世界を体験してみたいというユーザーのニーズに合致したタワー型PCだ。タワー型PCの特徴として、ユーザーの希望によって本体の拡張が容易なだけでなく、外部機器を接続するための必要十分なインターフェイスが確保されている点が挙げられ、PCをさらに使いこなしたいというユーザーに適したものとなっている。今回はLenovoのタワー型PC最新世代にあたる同製品のポイントを紹介していく。

 

基本モデルは必要十分なスペック、GPUを必要とするユーザーは拡張を

 

 今回紹介する「ideacentre 720」の直販モデルはideacentre 700シリーズとしては実質的に3代目の製品に該当する。前世代となるideacentre 710はSkylakeこと第6世代Intel Coreプロセッサのi7-6700を採用しており、ディスクリートGPU(dGPU)と呼ばれる外付けGPUを組み合わせることで、同世代の製品の中でも高パフォーマンスを特徴としていた。次にリリースされたのがideacentre 720(AMD)と呼ばれるモデルで、こちらはプロセッサにAMDのRyzen 7、dGPUに同じくAMDのRadeon RXを採用することで高パフォーマンスを維持しつつ、どちらかといえば価格面でのお得感を出した内容になっていた。今回取り上げている「ideacentre 720」は、このRyzen 7プロセッサをKaby Lakeこと第7世代Intel Coreプロセッサのi7-7700へと置き換えたもので、より高パフォーマンスを前面に出した構成となっている。

 

 ideacentre 720の直販モデルにおけるスペックは、最大動作クロック周波数が3.60GHz(ターボブースト時に最大4.20GHz)で4コア/8スレッド動作のCore i7-7700プロセッサを搭載し、メインメモリ16GB(8GB×2)を内蔵、ストレージは256GB SSD+2TB HDDにDVDスーパーマルチドライブ1基の構成となっている。OSはWindows 10 Home 64bit版がプリインストールされる。同モデルのグラフィックス機能はi7-7700標準の内蔵GPU(iGPU)であるHDグラフィックス630となっており、メインメモリの容量を一部消費する形で最大8GBまでをグラフィックメモリとして利用可能。HDグラフィックス630が実際どの程度の性能かという点だが、Kaby Lakeプロセッサに搭載された同機能はIntelのiGPUとしてはほぼ最新世代のものであり、H.265/HEVCやVP9といったコーデックにハードウェアで対応したりと、一般的な用途にはパフォーマンス的に問題ない。一方で、Photoshopなどで要求される高度なグラフィック処理のほか、FPSなどの応答性を必要とされる最新3Dゲームにはやや厳しい水準であり、解像度をフルHD以下のサイズに落としたり、描画品質を若干落とすことで30fps以上のフレームレートを維持できるようになる。

 

 実は、米国で直販向けにリリースされているモデルでは、このideacentre 720にNVIDIA GeForce GTX 1050Ti 4GBまたはAMD Radeon RX 460 4GBのいずれかのdGPUオプションを提示しており、このGPUの不足性能を補うことを念頭に3Dゲームでの利用やOculus VR Ready認定といった特徴をプッシュしている。その代わり、本体内蔵のメインメモリが8GB、ストレージが128GB SSD+1TB HDDという構成で日本での直販モデルの半分のスペックとなっており、価格帯を日米で同程度にするために基本スペックとdGPUのトレードオフとなっている。

 

 どちらがいいかというのは好みの面もあるが、筆者の意見では米国の8GBメモリに128GB SSDというのはデスクトップPCで本格的に利用するには“やや不足”しているという印象であり、特にアプリケーションが複数インストールされるメインドライブのSSDが128GBというのでは心許ない。ゆえに、日本で直販される基本モデルを押さえたうえで、グラフィックス性能に不満を感じるというのであれば、別途GPUカードを購入して拡張するのがベターだろう。特にミッドレンジクラスでコストパフォーマンスが高いといわれるGeForce GTX 1050Tiは国内での流通価格は1万5000-2万円程度であり、eクーポン適用後の税込み販売価格10万9172円にこの値段が上乗せされる形だ。さらに高性能を必要とするユーザーであれば、ここに追加で1-2万円を上乗せすればいいわけで、バランスを考えて拡張すればいいだろう。

 

話題のWindows Mixed Realityに標準対応

 

 ideacentre 720で1つ大きなポイントが、Windows 10でFall Creators Update以降に利用可能になった「Windows Mixed Reality(MR)」に標準対応している点だ。先ほど、「高パフォーマンスを必要とする用途にはやや非力」と評したiGPUのHDグラフィックス630だが、Windows MRで要求される「DX12以降に対応したHDグラフィックス620以上のGPU」という条件を満たしており、Lenovoを含む各社から発売されているVR HMDのヘッドセットを購入することで、すぐにでもWindows MRの世界を体験できる。

 

 このほか、Windows MRを利用する他の条件として見落とされがちなものに、「メインメモリは8GB以上」「Bluetooth 4.0に対応」がある。特にiGPUを利用する場合、メインメモリの一部がグラフィック用へと割り当てられる関係で、ジャストとなる8GBのメモリを搭載していてもWindows MRは動作しない。そのため、16GBというメインメモリの搭載量はWindows MRを利用するための最低条件を満たすために必須となっている。Bluetooth 4.0対応も同様で、デスクトップPCでは有線接続がメインとなるために無線LANやBluetoothのインターフェイスが搭載されていないケースがある。ideacentre 720ではIEEE 802.11ac/a/b/g/nの各規格をサポートするほか、Bluetooth 4.1に対応し、周辺機器接続やWindows MRの利用でも問題ない。

 

Microsoftが提示するWindows Mixed Realityを利用するための最低PCスペック

 

拡張性を備えたタワー機構

 

 タワー型PCのメリットはやはり拡張性とポートの豊富さだ。本体正面にはDVDスーパーマルチドライブのスロットのほか、正面右側のカバーを開けるとUSB 3.0ポート×4、マイクとヘッドフォンポート、SDカードなど7種類の規格に対応したメディアスロットが出現する。これとは別に背面にはUSB 3.0ポート×2、USB 2.0ポート×2、HDMIポート×1、VGAポート×1、オーディオポート×3、イーサネットポート(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T)×1が搭載されており、標準添付のキーボードとマウスは背面のUSBポートに接続する形となる。ディスプレイは付属しないため、別途用意してVGAまたはHDMIで接続する必要がある。

 

 拡張スロットはPCI Express x16が1基、PCI Express x1が2基用意されており、前述のGPUカードを含む拡張が可能。ストレージ用のベイとしては、3.5インチの内蔵HDDが1基収納されている以外は、5.25インチ、3.5インチ、2.5インチのベイがそれぞれ空となっており、ドライブや周辺機器拡張に活用できる。これらドライブや拡張カード領域にはドライバーなどの工具なしでケースを取り外してアクセスできるようになっており、メモリ増設も含めて拡張が容易な特徴がある。ideacentre 720は基本スペックが現時点のハイエンドで必要十分なものとなっており、今後も拡張込みで末永く使っていける製品だといえるだろう。

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