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PREMIUM YOGA 920

Windows 10の最新機能をフル活用する高性能2-in-1

Lenovo YOGA 920

鈴木淳也(Junya Suzuki)

 持ち運びに適度なサイズの筐体に、外出先での作業に十分な機能性を包含した2-in-1モバイルPCのLenovo YOGAシリーズに最新モデルが登場した。それが今年8月末から9月初旬までドイツのベルリンで開催されたIFA 2017で発表された「Lenovo YOGA 920」だ。筆者がノートPC選びにおいて「13インチ」というサイズにこだわっていることは[以前のレポート]でも紹介したが、ここで登場した「YOGA 910」の後継モデルにあたる。13インチというサイズはフルピッチのキーボードを搭載するのに最低限の大きさであり、かつ15インチにあるような「大きすぎて持ち運びのカバンを選ぶ」「重すぎて負担になる」といったことがない。また、ミニノートPCや薄型ノートPCでありがちな「プロセッサパワーが不十分で使用にストレスを感じる」ということがYOGA 910にはなく、この特徴は今回のYOGA 920も引き継いでいる。「テントモード」や「タブレットモード」など、狭い飛行機や列車での移動に便利な利用スタイルを選択できるのも、ディスプレイ部を360度開くことが可能な特殊なヒンジ構造を持つYOGAシリーズならではだ。

 

地味ながら大幅な性能強化を果たした新モデル

 

 YOGA 920の特徴を一言でいうならば、「(前モデルである)YOGA 910からの順当なアップグレード」だ。その最大の違いはプロセッサであり、YOGA 910では「Kaby Lake」こと「第7世代Intel Coreプロセッサ」を採用していたものが、YOGA 920ではその後継にあたる「Kaby Lake Refresh」こと「第8世代Intel Coreプロセッサ」となっている。プロセッサ性能の指標となるクロック周波数はYOGA 920の標準モデル(メモリ8GB)で1.60GHzと、前世代のYOGA 910での同クラスのモデルの2.50GHzと比べて低くなっているが、複数の処理を同時に行うための「CPUコアの数」は従来の2コアから4コアへと倍増しており、低消費電力ながら効率処理が可能となっている。Lenovoの説明によれば、従来比でパフォーマンスは3割ほど向上しているという。

 

 また地味ながら大きな変更としては、前モデルでも2基搭載されていたUSB Type-Cポートが両方ともThunderbolt 3とUSB 3.1に対応し、DisplayPortによる外部ディスプレイ出力や高速通信が可能になったことが挙げられる。Thunderbolt 3に対応する周辺機器はまだ少なく、価格もやや高価ではあるが、同ポート経由で接続して画像処理の高速化やゲームを快適に遊ぶことが可能になる「外付けGPUボックス」のような周辺機器が利用できたりと、拡張性の比較的限られた薄型ノートPCにおいて拡張の幅を広げる役割を持っている。またType-CポートはどちらもUSB Power Delivery(PD)という規格に対応しており、USB PDに対応したACアダプタを接続しての高速充電が可能だ。前モデルでは充電用のポートと周辺機器接続用のポートが別々に分かれていたが、YOGA 920ではこの縛りがない。USB PDは業界標準の規格であり、アダプタはLenovo純正のものでなくてもメーカー間で製品の使い回しが可能だ。[前回も紹介した]ように、USB PDアダプタとしてはAppleのMacBook Pro向けのものが比較的メジャーで取り扱い店舗も多いため、外出先での紛失や故障など、いざというときの充電手段として覚えておくと便利だろう。

 

本体を開封すると、キーボードとディスプレイの間の保護シートに各ポートや「静音モード」への移行方法の解説が出現する

 

本体には65WのACアダプタが付属する。通常のType-Cを使ったUSB PD方式のため、他機種とのアダプタ兼用が可能。例えばMacBook Pro 13インチモデルで使われる61WアダプタでもYOGA 920の充電が可能だが、若干充電スピードが落ちるようだ

 

 基本的に、内部スペックの向上を除けばYOGA 910と920での差異はない。13.9インチのディスプレイに解像度がフルHD(1920×1080)とウルトラHD(3840×2160)の2種類のモデルが用意され、それぞれ搭載メモリが8GBまたは16GBでプロセッサが異なっているなど、モデル構成も一緒だ。重量もYOGA 920では1.37kgと前モデルとほぼ同等だが、ディスプレイを閉じた状態の本体厚が13.95mmと前モデルの14.30mmから若干薄くなっている。Windows 10へのサインインに便利な指紋認証機構も前モデル同様備えており、パスワードやPIN入力なしでの素早い利用が可能だ。

 

 ここまでの情報を見て「最新モデルでなくても高機能なノートPCがほしい」と考えている人には、あえて安くなった前モデルを購入するという手段もある。幸い、本稿執筆時点でYOGA 910がレノボダイレクトから購入可能になっており、直販価格もYOGA 920の同クラスのモデルと比較して2割ほど安くなっている。次項で紹介する話題を見てなお販売価格に魅力を感じるのであれば、ぜひ検討してみてほしい。

 

Windows Ink対応のBluetooth Active Penが標準添付

 

 ある意味でYOGA 920最大のセールスポイントとなるのが、4096段階の筆圧感知に対応した「Bluetooth Active Pen」の標準添付だ。Bluetooth 4.0に対応したこのペンでは、手書きメモからスケッチまで、さまざまな用途で活用できる。特にテントモードやタブレットモードなど、キーボード操作をロックしてタッチパネルでの操作のみを有効化する動作モードを持つYOGAシリーズにおいて、利用スタイルの幅を広げる新しい周辺機器だ。

 

YOGA 920本体付属のBluetooth Active Pen。このまま電池を挿入して普通のスタイラスとしても利用可能だが、本体とペアリングさせることで手元の2つのボタンとペン後ろのノック部分に追加機能を割り当てることが可能

 

 Windows OSを提供するMicrosoftでは、過去10年以上にわたってPCでのペン入力推進に向けた取り組みを続けているが、その集大成となるのが2016年8月にリリースされたWindows 10のアップデート「Anniversary Update(1607)」だ。Creators Updateでは「Windows Ink」と呼ばれるペン入力専用のワークスペース機能を搭載しており、タスクバー上にあるInkアイコンからいつでも引き出せるようになっている。取り込んだスクリーンショットや写真などにペンでメモを書き込んで相手に送信したり、Inkワークスペースから呼び出せる「付箋紙」や「スケッチパッド」機能を使って手書きメモやイラストを作成することが可能だ。スケッチパッドでの描画やメモ書きでは、定規ツールを使って直線を引いたり、文字や図形を整列させて配置することも可能だ。ペンは手書き入力のツールとしても利用でき、日本語変換では入力の面倒な人名を素早く入力する際にも役に立つ。

 

筆圧検知は4096段階で認識も非常にスムーズ

 

 Windows Inkは以後のアップデートでも機能強化が続いており、「フォト」や「マップ」といったアプリでの機能拡充のほか、Officeとの連携強化など、使える場面が増えている。また2017年4月にリリースされた「Creators Update(1703)」で追加された新アプリ「Paint 3D」のように、ペン操作との組み合わせで使いやすさが格段に向上するものもあり、Windows 10利用における重要な要素となりつつある。

 

Windows Inkの定規ツールを使って地図にルートを書き込んでいるところ。Microsoft Officeをはじめ、Ink対応ツールが徐々に増えてきている

 

 この傾向は10月17日に配信がスタートした「Fall Creators Update(1709)」でより顕著になっており、これまでペンで実行できなかった操作、例えばEdgeブラウザにおける画面スクロールなどが可能になっているなど、これまで指によるタッチ操作との併用が必要だったものも、ペンのみで利用可能だ。これは、テントモードやタブレットモードなど、比較的ペン操作と相性のいいモードでの利用がより便利になることを意味しており、対応アプリ増加と合わせ、複数の操作モードを持つYOGAならではのメリットとなる。今回のテストでは残念ながらFall Creators Updateの配信前のレビューとなったため、同アップデートでの新機能や変更点に触れることができなかったが、このあたりはまた改めて検証したい。また気になった点として、PC本体の利用方法については説明書が用意されているものの、付属のActive Penについては電池交換方法を解説した簡単な英語と中国語の説明書しか付属しておらず、利用開始にあたってセットアップ方法など、もう少し解説があってもいいのではないかと感じた。Lenovo謹製のツールも含め、このあたりはもう少しだけ改善してペン操作の楽しさをアピールしてもいいのではないだろうか。

 

 いずれにせよ、異なる複数のアプリをまたいでの作業を可能にするペン+Windows Inkの組み合わせは作業内容によって非常に役立つため、YOGA 920を入手した際には積極的に使っていきたいところだ。

 

 

Kaby Lake Refreshこと第8世代Intel Coreプロセッサへと進化したYOGA 920。キーボードにはお馴染みの指紋センサーがあり、Windows Helloで簡単にサインインが行える

前回は充電用だったUSB Type-Cポートが、今回のYOGA 920ではThunderbolt 3×2の構成となり、周辺機器接続と本体充電の両方に活用できるようになった。充電にはどちらのポートを利用してもよい

反対方向側面にはUSB Type-Aポートと電源スイッチがある。既存の周辺機器接続やUSBメモリの利用にはこちらが便利だろう

ペンを“ひっかける”フックは本体右側面のUSB Type-Aポートを利用する

ノートPCモードで利用するときはペンを立てておくと、すぐに取り出せて使いやすい

テントモードまたはタブレットモードなどのモバイル時はペンを穴に通してしっかり固定しておくといいだろう

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